ぼくにとってのインテリアデザインは服を選ぶようなものだ。それぞれの生活様式に合った色や形があって、シーンに合わせて組合せを考えたり、着ごこちを試してみたり、とても楽しくてアクチュアルな作業だ。ただそれだけのものであって、それ以上のものではない。それでもひと度この世界に生まれたインテリアは、ひとの心を動かしたり新たな発見をあたえたり、ぼくの手から離れて、いきいきと呼吸しはじめる。

物質はひとの考えや想いを運ぶ。絵画や彫刻に複数の時間や記憶が内在しているのと同じで、インテリアにもそんな物質としての機能が備わっているようだ。ただアートのようにひとの考えを根本から変えてしまうような、外側から働きかける大きなちからはもっていない。インテリアにできることは、そっと内側から働きかけて、気分をかえてくれることくらいだ。

人は社会をつくり、建築は都市をつくる。ぼくたちはそんな大きなダイナミズムの中に身を投げ出して生活している。インテリアはそこに向き合うための心の構えをつくる。環境がひとを変え、ひとが環境を変える。この連鎖の中で、インテリアがうまく機能することをいつも考えている。そしてインテリアから受けとることのできる喜びを、できるだけ多くの人に、もっと遠くへ届けるために。

Osaka office
Yodogawa-bldg annex 4F
Kitaku toyosaki 3-1-19
Osaka 531-0072
Tel 06-6131-9838
Jiro Araki
Interior designer
info@design-fabrica.jp
PAGE UP